【IBD専門医Q&A】日本のIBD患者数は40万人を突破。World IBD Dayに寄せて、日本の現状や病気の基本を整理する|仙台駅の消化器内科・胃カメラ・大腸カメラ|せんだい駅前 消化器IBDクリニック

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【IBD専門医Q&A】日本のIBD患者数は40万人を突破。World IBD Dayに寄せて、日本の現状や病気の基本を整理する

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2026年5月19日

【IBD専門医Q&A】日本のIBD患者数は40万人を突破。World IBD Dayに寄せて、日本の現状や病気の基本を整理する

こんにちは。仙台駅前でIBD(炎症性腸疾患)診療と内視鏡診療に力を入れている「せんだい駅前 消化器IBDクリニック」院長の志賀 永嗣です。当院は、プライバシーに配慮した個室空間で、大学病院レベルの専門的な治療をスムーズに受けていただけるクリニックを目指しています。

5月19日は「World IBD Day(世界IBDの日)」です。
IBDとは、潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)を合わせた総称ですが、かつては「珍しい病気」と言われていました。しかし、現在は決してそうではありません。

今回は、最新の報告をもとに、日本のIBDの「今」と、改めて知っておきたい病気の基本についてお話しします。

過去の記事をまだご覧になっていない場合は、潰瘍性大腸炎治療の全体像クローン病治療の全体像も合わせてご覧くださいね。

1. 日本のIBD患者さんは、今どれくらいいるの?

最新の研究(2025年発表)によると、2023年時点での日本国内の推計患者数は以下の通りです。

潰瘍性大腸炎(UC):約316,900人

クローン病(CD):約95,700人

合計すると40万人を超えます。2014年の患者数と比べると、9年で約1.4倍に増えている計算になります。日本を含むアジア諸国は、罹患率(りかんりつ:新しく病気になる人の割合)が増加している段階にあり、患者数は急増しています(欧米は1つ先の段階にあり、罹患率は横ばいになってきています)。

これだけ患者数が増えている今、IBDは「特別な誰かの病気」ではなく、「私たちの身近な病気」になっているのです。

2. そもそもIBD(炎症性腸疾患)ってどんな病気?

IBDは、免疫の異常などが原因で、腸の粘膜に炎症が起きる病気です。原因が1つに特定されていないため、難病に指定されています。大きく2つのタイプがあります。

潰瘍性大腸炎(UC)

主に大腸の粘膜(表面の層)に炎症が起こります。直腸から連続的に広がっていくのが特徴で、主な症状は下痢や血便です。

クローン病(CD)

口から肛門まで、全消化管のどこにでも炎症が起こる可能性があります。炎症が飛び飛びに現れる(スキップ病変)のが特徴で、腸の壁の深い層まで炎症が進むと、狭窄(きょうさく:腸の通り道が狭くなること)や瘻孔(ろうこう:腸に穴が開いて他の臓器とつながること)を形成することがあります。

それぞれの詳しい症状や検査方法など、病名から探す炎症性腸疾患(IBD)専門外来もご覧くださいね。

3. IBD患者さんが抱える「目に見えない」お困りごと

患者数が増える一方で、周囲の理解が追いついていない現状もあります。当院を受診される患者さんからも、以下のようなお声をよく伺います。

トイレの悩み

急な便意に襲われるため、外出時にトイレの場所を常に確認しなければならず、精神的に疲れてしまう。

食事の制限

友人や同僚との外食など、何を食べれば良いか、気を遣いすぎてしまう。

倦怠感や疲れやすさ

元気そうに見えてしまうため、体のだるさや微熱などの辛さが周囲に伝わりにくい。

これらのお困りごとに対して、基本薬である5-ASA製剤や、中等症の方へのステロイド治療、さらには近年進歩が目覚ましい高度な治療(アドバンスド・セラピー)により、炎症をしっかり抑えることができます。

炎症が落ち着いた状態(寛解:かんかい)になれば、これまでと変わらない日常生活を送ることが可能です。とは言え、今回のWorld IBD Dayをきっかけに、周囲の病気の認知・理解が深まり、患者さんの不安が少しでも減ると良いですね。

4. まとめ

IBDは長く付き合っていく病気ですが、適切な診断と治療を継続することで、多くの方が仕事や学業、旅行などを楽しんでいます。

「最近お腹の調子がずっとおかしいな」と感じている方や、現在の治療に不安を感じている方は、どうぞお気軽にご相談ください。当院はターミナル駅前に位置し、お仕事帰りや通学途中でも立ち寄りやすい環境を整えています。一人ひとりのライフスタイルに合わせた最適な治療を、共に考えていきましょう。

治療を続ける上で、感染症予防のためのワクチン接種妊娠に関することなど、注意すべき点もあります。専門医としての経験を活かし、これからも皆さんの疑問に答えられるような情報を発信していきます。

引用文献

1. Tsutsui A, Murakami Y, et al. Nationwide estimates of patient numbers and prevalence rates of ulcerative colitis and Crohn’s disease in Japan in 2023. J Gastroenterol. 2025;60(12):1513-1522.
2. Murakami Y, Nishiwaki Y, et al. Estimated prevalence of ulcerative colitis and Crohn’s disease in Japan in 2014: an analysis of a nationwide survey. J Gastroenterol. 2019;54(12):1070-1077.
3. Kaplan GG, Windsor JW. The four epidemiological stages in the global evolution of inflammatory bowel disease. Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2021;18(1):56-66.

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