真っ赤で鮮やかな出血であり、一目で血便とわかるものです。肛門から比較的近いところからの出血が考えやすく、痔核(内痔核や外痔核)からの出血が疑われます。しかし、肛門から近い部位にできた大腸ポリープや大腸がん(直腸がん)のこともあり、痔核からの出血を疑っても、一度は大腸カメラ検査を受けてみるべきです。他に、大腸憩室からの出血など、短時間で大量に出血している場合にも鮮血便となります。虚血性腸炎も急に発症して鮮血便となりますが、左下腹部を中心に強い腹痛を生じるのが特徴です。

出血したのち、肛門から排出されるまでに時間がかかると、鮮血便ではなく赤黒い血便になります。大腸ポリープや大腸がんの可能性があり、大腸カメラ検査で確認します。その際、下剤を服用して洗浄したのち、奥の方までしっかりと観察する必要があります。

ゼリー状の粘液を伴う血便であり、下痢や腹痛などの症状を伴うことが多くあります。原因として、感染性腸炎や炎症性腸疾患などが考えられます。感染性腸炎の原因として、カンピロバクター、サルモネラ、腸管出血性大腸菌腸炎などの細菌が挙げられます。逆に、ウイルスによる腸炎の場合は、あまり血便を認めません。

目で見てもわからないような少量の血が混ざった状態で、がん検診や健康診断の便潜血検査は、この微量の出血を検出する検査です。精密検査として大腸カメラ検査を受けることで、大腸ポリープや大腸がんの発見につながります。

真っ黒なコールタール様の便で、胃や十二指腸からの出血が疑われます。出血してから腸の中を長時間かけて通過する際、血液の中の鉄分が変化して、黒い色の便となります。この場合の検査は、大腸カメラ検査ではなく、胃カメラ検査が勧められます。なお、鉄剤を服用している場合にも黒っぽい便が見られるため、注意が必要です。