炎症性腸疾患(IBD)である潰瘍性大腸炎とクローン病は、免疫の異常が関与し、腸に慢性的な炎症を引き起こす病気です。当院では、患者さんが安心して社会生活を送れるよう、一人ひとりの病状や生活背景に合わせて、最適な治療法をご提案いたします。
特に薬物療法については、最新の知見に基づいた幅広い選択肢を提供し、寛解導入(炎症を抑えて症状が落ち着いた「寛解」へ導くこと)から寛解維持(寛解の状態を保つこと)まで、長期的にサポートします。
IBDの治療
IBDの治療

炎症性腸疾患(IBD)である潰瘍性大腸炎とクローン病は、免疫の異常が関与し、腸に慢性的な炎症を引き起こす病気です。当院では、患者さんが安心して社会生活を送れるよう、一人ひとりの病状や生活背景に合わせて、最適な治療法をご提案いたします。
特に薬物療法については、最新の知見に基づいた幅広い選択肢を提供し、寛解導入(炎症を抑えて症状が落ち着いた「寛解」へ導くこと)から寛解維持(寛解の状態を保つこと)まで、長期的にサポートします。
完治が難しいIBD治療の最終目標は、「症状の消失(寛解)を長く維持し、生活の質(QOL)を向上させること」です。具体的には、以下の2つのフェーズに分けて、治療を進めていきます。
炎症による症状が強く現れている「再燃期(診断時を含む)」において、迅速かつ強力に炎症を抑え、症状が軽減した「寛解」を目指します。
症状が落ち着いた「寛解期」において、炎症の再燃を防ぎ、寛解の状態を長く維持するための治療を行います。仮に症状を全く認めなくとも、毎日の服薬を継続することが極めて重要です。
治療法を選択する場合、病気の種類(潰瘍性大腸炎、クローン病)、重症度、炎症の範囲、そして年齢や生活背景(ライフスタイルや妊娠の希望など)を総合的に判断するわけですが、ご希望も勘案しながら進めていきます。
IBD治療の主体は薬物療法です。当院では、多くの薬剤やそれらを組み合わせることで、一人ひとりに最適な治療法をご提案します。
薬物療法に加え、必要に応じて以下の治療法も検討されます。
ステロイド治療で効果が不十分な場合や、ステロイドの減量・中止が難しい場合に選択されることがあります。献血のように血液を体外に循環させ、特殊なフィルターで免疫異常に関連する炎症細胞(活性化した顆粒球や単球など)を取り除くことで、炎症を抑制します。
通常、週1回の頻度で行われますが、症状の強い症例などでは週2回行なった方が効果が高いとされています。
クローン病において腸の安静を図り、同時に栄養も摂取できる治療法です。もともと第一選択の治療でしたが、強力な生物学的製剤が登場したことで、使用される頻度が減少しています。なお、入院して完全に絶食とする場合は、太い血管から1日のすべての栄養を補える点滴(中心静脈栄養と言う)を行ないます。
成分栄養剤を用いるか否かにかかわらず、食事内容に気を配ることは重要です。三大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質)のうち、脂質を多く含む食事は避けることが推奨されています。また、調子が悪い時期は、低脂肪だけでなく、低残渣(食物繊維が少ない)の食事がすすめられます。
とは言え、食事は人が生きていく上で欠かせないものですので、その楽しみを奪ってしまうことは避けたいところです。当院では、一人ひとりの炎症の程度を勘案しつつ、長く継続できる食事療法を相談していきます。
薬物療法を中心とした内科治療は多くの方に有効ですが、内科治療で十分な効果が得られない場合や、重篤な合併症(腸管穿孔、大量出血、がん化など)がある場合には、外科手術が検討されます。
IBD治療の最終的な目標は、症状を抑えることではなく、学校・仕事・家庭生活を安心して送れるようになってもらうことです。当院では、患者さんがIBDと向き合いながら充実した日常生活を送れるよう、スタッフ一同が連携し、包括的にサポートできる体制を目指しています。
IBDの治療は長期にわたりますが、当院では患者さんが安心して治療を継続し、QOLの高い生活を送れるよう、きめ細やかなサポートを提供できればと考えています。気になる症状がある方、現在の治療にご不安がある方など、ぜひ一度ご相談ください。
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