潰瘍性大腸炎・クローン病
潰瘍性大腸炎・クローン病

潰瘍性大腸炎の症状は多岐にわたりますが、代表的なものとして、腹痛、下痢、粘液を伴う血便がみられます。重症の場合は、発熱などの全身症状が現れます。また、診断されるまでに時間がかかった場合には、貧血による症状(ふらつきなど)や体重減少が見られることもあります。
通常は炎症が腸管壁の浅い部分に留まりますが、強い炎症が腸管壁の深くまで及ぶと、大量出血や穿孔(せんこう:腸に穴があくこと)を来します。この場合は、緊急手術を必要とします。また、腸以外の症状として、関節や皮膚の症状を認めることもあります。
発症から長期になると、大腸がんを発症するリスクが高まると言われています。炎症をコントロールすることが重要です。さらに、発症から8年以上経過した方では、定期的な大腸カメラ検査が推奨されます。当院では、内視鏡専門医かつIBD専門医による、安全かつ正確な検査をご提供します。
潰瘍性大腸炎の治療は、主に薬物療法です。そのほかに、血球成分除去療法や外科手術がありますが、症状や炎症の程度に合わせて判断します。
クローン病は、潰瘍性大腸炎と同じく、腸に原因不明の炎症が起こる病気です。ただし、大腸に限局した潰瘍性大腸炎とは異なり、口から肛門まで続く消化管の中で、どの部位にも炎症が起こる可能性があります。また、連続的な炎症を認める潰瘍性大腸炎とは異なり、非連続性で飛び飛びの炎症を認めることも特徴です。1932年にクローン医師らによって初めて報告されたことから、クローン病と呼ばれています。
消化管の中でも特に炎症が起こりやすいのが小腸と大腸(とくに小腸の終末部から大腸にかけての回盲部)であるため、炎症の範囲に応じて、小腸に炎症を認める小腸型、小腸と大腸に認める小腸大腸型、大腸に認める大腸型に分類されています。
潰瘍性大腸炎よりさらに若い方を中心に発症するため、10~20代に多く、男性で20~24歳、女性では15~19歳に発症年齢のピークがあります。欧米とは異なり、日本では男女比が2:1で男性に多くみられます。
このように潰瘍性大腸炎と異なる特徴もありますが、再燃と寛解を繰り返すという特徴は同じです。また、早めの診断・早めの治療が重要である点も同じです。当院では、IBD専門医による正確な診断に基づき、合併症のない良好な経過を目指しています。
クローン病の症状も多岐にわたりますが、特徴的な症状は腹痛と下痢で、半数以上の患者さんにみられます。また、潰瘍性大腸炎よりも全身的な症状(発熱や体重減少など)が強く現れるため、なかなか診断されずに長年苦しんでいることもあります。
特に日本人のクローン病の方で特徴的な症状として、肛門病変があります。痔ろうや肛門周囲膿瘍など、肛門科の受診がきっかけで診断されることもあります。また、肛門病変が先に現れ、数年後に腸炎症状が現れてクローン病と診断されることもあります。また、潰瘍性大腸炎と同じく、腸以外の関節や皮膚の症状を認めることがよくあります。
潰瘍性大腸炎の炎症が腸管壁の浅い層が中心であることと異なり、クローン病ではより深く層の炎症を認めます。そのため、病気が進行すると狭窄(腸の内腔が狭くなる)を来し、手術を必要とすることがあります。さらに進行すると、穿孔や瘻孔(腸と腸、あるいは腸と皮膚などとの間にバイパスができる)なども来します。このような合併症を起こさないためにも、早めの診断が重要です。
クローン病の内科治療として、栄養療法と薬物療法があります。また、狭窄などの合併症がある場合には、外科手術を必要とすることもあります。当院では、現在の状態を正確に把握し、最適な治療を相談してまいります。
これまでの内容を、下記にまとめます。
| 潰瘍性大腸炎 | クローン病 |
|---|---|
| 大腸に限局 | 口から肛門まで消化管のどこでも |
| 発症は20代だが、中高年も多い | 発症は10代から20代(中高年は少ない) |
| 男女比はほぼ同じ | 男性:女性=2:1 |
| 腸炎症状(下痢や血便)が中心 | 腸炎症状のほか、全身症状(発熱や体重減少)が多い |
| 血便は必須 | 下痢はあるものの血便は少ない |
| 診断は大腸カメラが中心 | 大腸カメラのほか、胃カメラなども重要 |
| 治療は薬物療法が中心 | 薬物療法のほか、栄養療法や外科手術も |
潰瘍性大腸炎(軽症を除く)とクローン病は、厚生労働省の難病対策事業「特定疾患治療研究事業」の対象疾患に指定されています。所定の手続きを行い認定されることで、医療費助成を受けることができます。また、当院は難病指定医療機関に認定されております。
詳しくは(https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460#taisho や https://www.city.sendai.jp/shogai-nanbyo/sitenanbyo/iryohizyoseseido.html など)のほか、診察の際などお気軽にお問合せください。
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