機能性ディスペプシア(FD)とは、内視鏡検査などで調べても、胃炎や胃潰瘍、胃がんといった明らかな異常がないにもかかわらず、胃痛(みぞおちの痛み)や胃もたれ、胃の膨満感などの症状が慢性的に続く病気です。以前は「慢性胃炎」や「ストレス性胃炎」などと診断されていましたが、胃に炎症がなくても症状があったり、逆に炎症があっても症状がなかったりすることから、胃の「はたらき(機能)」が悪くなることで症状が起こることがわかってきました。
このため、2013年に「明らかな器質的な原因が認められないにもかかわらず、慢性的にみぞおちを中心とした痛みや胃もたれ等の上腹部症状を引き起こす状態」を機能性ディスペプシアと定義し、病気として扱われるようになりました。「ディスペプシア」という言葉は、元々ギリシャ語で「消化不良」を意味する医学用語です。
FDは消化器内科で最も頻繁に見られる病気の一つで、慢性的な症状が続き、生活の質(QOL)を著しく低下させることがあります。原因は複数あり、症状も多岐にわたるため、治療法もそれぞれ異なります。しかし、適切な治療により症状が改善すれば、QOLの回復が期待できます。症状が強い弱いに関わらず、我慢せずにお早めの受診をお勧めします。
