【IBD専門医Q&A】飲み薬だけで大丈夫?潰瘍性大腸炎の「塗り薬」―局所製剤(坐剤・注腸剤)を使いこなすコツ|仙台駅の消化器内科・胃カメラ・大腸カメラ|せんだい駅前 消化器IBDクリニック

〒980-0021宮城県仙台市青葉区中央二丁目1番5号 青葉21ビル 3階

022-797-9171

WEB予約 お問い合わせ
院内

【IBD専門医Q&A】飲み薬だけで大丈夫?潰瘍性大腸炎の「塗り薬」―局所製剤(坐剤・注腸剤)を使いこなすコツ

【IBD専門医Q&A】飲み薬だけで大丈夫?潰瘍性大腸炎の「塗り薬」―局所製剤(坐剤・注腸剤)を使いこなすコツ|仙台駅の消化器内科・胃カメラ・大腸カメラ|せんだい駅前 消化器IBDクリニック

2026年4月02日

【IBD専門医Q&A】飲み薬だけで大丈夫?潰瘍性大腸炎の「塗り薬」―局所製剤(坐剤・注腸剤)を使いこなすコツ

こんにちは。仙台駅前でIBD(炎症性腸疾患)診療と内視鏡診療に力を入れている「せんだい駅前 消化器IBDクリニック」院長の志賀 永嗣です。当院は、プライバシーに配慮した個室空間で、大学病院レベルの専門的な治療をスムーズに受けていただけるクリニックを目指しています。

「潰瘍性大腸炎と診断されて飲み薬(5-ASA製剤)を始めたけれど、なかなか出血が止まらない」
「お尻から入れる坐剤(ざざい)や注腸剤(ちゅうちょうざい)って、なんだか怖いし面倒くさそう」

そんな不安を感じていませんか?実は、潰瘍性大腸炎の治療において、肛門側から直接薬を届ける「局所製剤(きょくしょせいざい)」は、非常に効率的で強力な助っ人なんです。

今回は、基本薬5-ASAの坐剤・注腸剤や、副作用の少ないステロイドであるブデソニドの注腸フォーム剤について、仕組みや使いこなし術をわかりやすく解説します。

過去の記事をまだご覧になっていない場合は、「潰瘍性大腸炎治療の全体像」をふり返りながら、各論の「5-ASA製剤」や「ステロイド」についてもお読みくださいね。

過去記事:潰瘍性大腸炎の治療を総括する:基本の5-ASA製剤から最新治療までのステップ

過去記事:「薬、いつまで飲むの?」潰瘍性大腸炎・クローン病の基本薬5-ASAを続ける本当の理由(ペンタサ・アサコール・リアルダ)

過去記事:ステロイドは本当に安全?いつまで続けるの?潰瘍性大腸炎とクローン病での「役割」の違い

1. 「飲み薬」と「塗り薬」の違いは?

これまで、潰瘍性大腸炎の基本薬である「5-ASA製剤」や「ステロイド(副腎皮質ホルモン)」についてお話ししてきました。これらは全身の炎症を抑える「飲み薬」が中心でしたが、今回ご紹介する局所製剤は、いわば「腸に直接塗るお薬」です。

喉が痛いときに「トローチ」を舐めたり、火傷(やけど)をしたときに「軟膏」を塗ったりするのと同じイメージです。局所製剤はお尻(肛門)から入れることで、ダイレクトに炎症を起こしている粘膜に届きます

2. 5-ASAの局所製剤:炎症の範囲が狭い場合はもちろん、広い場合でも大活躍

潰瘍性大腸炎の炎症は、必ず直腸(ちょくちょう:肛門からすぐの腸)から始まります。そのため、直腸だけに炎症がある「直腸炎型」の方は、飲み薬よりも坐剤(お尻から入れる固形の薬)や注腸剤(液体や泡状の薬を浣腸のように入れる)を単独で使うことで、効率よく、かつ副作用を抑えて治療できます。

炎症がもっと奥まで広がっている「左側大腸炎型」あるいは「全大腸炎型」の方でも、飲み薬に局所製剤を「上乗せ」することで、より確実に寛解(かんかい:症状が落ち着いた状態)に導けるとされています。

3. 注腸剤の「ハードル」を乗り越えるコツ

坐剤(ペンタサ坐剤など)は比較的手軽ですが、液体である注腸剤(ペンタサ注腸など)は「入れるとすぐにトイレに行きたくなる」「お腹が張る」といった理由で敬遠されがちです。

でも、ご安心してください。最初は誰でも戸惑いますが、コツがあります。下記の点に注意して繰り返していくと、腸が次第に薬の刺激に慣れてきて、長い時間保持できるようになります。

入れる前にトイレを済ませておく

体温に近い温度に温めてから入れる

入れた後はしばらく横になり、ゆっくり深呼吸する

「直腸炎型」の方は坐剤でも薬が届きますが、「左側大腸炎型」の方は注腸剤だと薬が届きやすくなります。また、冷たいと刺激になるので、入浴時に袋を開けずにお風呂に入れてしまうのも一手ですね。

4. ステロイド注腸の進化形「レクタブル」

炎症が強い場合にはステロイドの局所製剤を使います。以前は液体のステロイド注腸が主流でしたが、今は「レクタブル」という泡(フォーム)状の薬が登場し、使い勝手は大きく変わりました。

泡状なので、液体のように「漏れる」心配が少なく、横にならずに使用することが可能です。また、ブデソニドという種類のステロイドを使用しており、仮に体内に吸収されても肝臓ですぐに分解されるため、全身への副作用(顔が腫れるムーンフェイスなど)が非常に少ないのが特徴です。

5. 「局所製剤」だけで粘りすぎないことも大切

非常に便利な局所製剤ですが、注意点もあります。レクタブルなどのステロイドを用いた局所製剤は、あくまで「一時的に火を消す」ための薬だということです。

「薬をやめるとすぐに再燃(症状が悪化)してしまう」
「常にレクタブルを使っていないと良い状態を維持できない」

このような状態は「ステロイド依存(いぞん)」と呼ばれます。ステロイドに頼りすぎてしまうと、気づかないうちに腸の深い部分で炎症がくすぶり続け、将来的な合併症のリスクを高めてしまうことがあります。

局所製剤を使ってもスッキリ良くならない、あるいは手放せないという場合は、早めにアドバンスドセラピー(高度な治療)へのステップアップを検討すべきタイミングかもしれません。

6. まとめ

局所製剤は、潰瘍性大腸炎治療における「強力なサポーター」です。手間は少しかかりますが、その分、炎症の最前線でしっかり働いてくれます。

当院では、患者さん一人ひとりの炎症の範囲やライフスタイルに合わせて、最適な製剤の組み合わせをご提案しています。「お尻からの薬はちょっと…」と避けていた方も、ぜひ一度ご相談ください。一緒に、あなたに一番合った治療法を見つけていきましょう。

引用文献

1. 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 令和7年度改訂版
2. Ford AC, Khan HJ, et al. Efficacy of oral vs. topical, or combined oral and topical 5-aminosalicylates, in Ulcerative Colitis: systematic review and meta-analysis. Am J Gastroenterol. 2012;107(2):167-176.
3. Barberio B, Segal JP, et al. Efficacy of Oral, Topical, or Combined Oral and Topical 5-Aminosalicylates, in Ulcerative Colitis: Systematic Review and Network Meta-analysis. J Crohns Colitis. 2021;15(7):1184-1196.
4. 日本消化器病学会 炎症性腸疾患(IBD) 診療ガイドライン2020(改訂第2版)

TOP