【IBD専門医Q&A】薬の仕組みを知ろう(④抗IL-12/23抗体編):炎症の「応援部隊」を呼ばせない、長期安定の守護神|仙台駅の消化器内科・胃カメラ・大腸カメラ|せんだい駅前 消化器IBDクリニック

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【IBD専門医Q&A】薬の仕組みを知ろう(④抗IL-12/23抗体編):炎症の「応援部隊」を呼ばせない、長期安定の守護神

【IBD専門医Q&A】薬の仕組みを知ろう(④抗IL-12/23抗体編):炎症の「応援部隊」を呼ばせない、長期安定の守護神|仙台駅の消化器内科・胃カメラ・大腸カメラ|せんだい駅前 消化器IBDクリニック

2026年3月17日

【IBD専門医Q&A】薬の仕組みを知ろう(④抗IL-12/23抗体編):炎症の「応援部隊」を呼ばせない、長期安定の守護神

こんにちは。仙台駅前でIBD(炎症性腸疾患)診療と内視鏡診療に力を入れている「せんだい駅前 消化器IBDクリニック」院長の志賀 永嗣です。当院は、プライバシーに配慮した個室空間で、大学病院レベルの専門的な治療をスムーズに受けていただけるクリニックを目指しています。

高度な治療(アドバンスド・セラピー)をお薬の仕組みごとに解説したシリーズの第1弾「抗TNF抗体製剤」、第2弾「JAK阻害薬」、第3弾「抗インテグリン抗体製剤」に続き、今回の第4弾ではクローン病・潰瘍性大腸炎の両方で中心的な役割を担う「抗IL(インターロイキン)-12/23抗体製剤(ウステキヌマブ:ステラーラ®)」を取り上げます。

過去の記事をまだご覧になっていない場合は、「潰瘍性大腸炎治療の全体像」や「クローン病治療の全体像」を読んでもらってから、各論である「高度な治療(アドバンスド・セラピー)」に進んでくださいね。

過去記事:潰瘍性大腸炎の治療を総括する:基本の5-ASA製剤から最新治療までのステップ

過去記事:クローン病の治療を総括する:早期の「徹底管理」が未来を分ける理由

過去記事:薬の仕組みを知ろう(①抗TNF抗体編):炎症を起こす「指令書」をキャッチして、火を消し止める

過去記事:薬の仕組みを知ろう(②JAK阻害薬編):細胞の「通信機」を切って、炎症のリレーを止める

過去記事:薬の仕組みを知ろう(③抗インテグリン抗体編):腸への「検問」を強化して、暴走した兵士を入れない

1. IL-12とIL-23は、兵士を呼び寄せる「応援要請の合図」

これまでのシリーズの例えを使いましょう。腸という現場(戦場)で、暴走した免疫細胞(兵士)たちが火事(炎症)を起こしています。

炎症が始まると、兵士たちは周囲に向かって「火事をもっと広げるぞ!もっと応援を寄こせ!」と合図を送ります。このような「応援部隊を呼ぶための合図」がIL-12(インターロイキン12)やIL-23(インターロイキン23)です。

IL-12

主に暴動の「初期」に応援を呼ぶ合図

IL-23

暴動が「長引く(慢性化する)」原因となる、しつこい応援要請の合図

2. 薬の仕組み:応援部隊を呼ぶ「電話線」をカットする

ウステキヌマブ(ステラーラ®)は、このIL-12とIL-23の両方が共通して持っている「p40」という部分に結合して無効化してしまいます。

いわば、応援を呼ぶための「電話線」をまとめて切ってしまうようなイメージです。応援部隊が来られなくなれば、火事(炎症)は拡大できず、やがて現場には平穏(寛解:かんかい)が戻ります。

※よりピンポイントにIL-23だけを狙い撃ちする「抗IL-23抗体製剤(p19という部分に結合する)」という親戚のようなお薬も登場していますが、これらについては改めてお話しする予定です。

3. 潰瘍性大腸炎(UC)での特徴:2剤目としても頼もしい

本邦の治療指針では、高度な治療(アドバンスド・セラピー)として、多くの薬剤が「横並び」で記載されていることは前回もお話ししました。患者さん一人ひとりの状態に合わせて、患者さんと主治医とで相談しながら選んでいきます。

2024年の米国消化器病学会(AGA)の最新ガイドラインでは、ウステキヌマブは非常に使い勝手の良い薬として位置づけられています。

高い安全性

他の高度な治療(アドバンスド・セラピー)と比較しても感染症のリスクが低く、高齢の方や合併症が心配な方でも安心して始められます。

「2剤目」でも効く

1剤目の高度な治療(アドバンスド・セラピー、主に抗TNF抗体製剤)が効かなくなった後でも、JAK阻害薬と並んで高い有効性が期待できることが分かっています。

4. クローン病(CD)での立ち位置:長く付き合える「大ベテラン」

クローン病においても、ウステキヌマブは長年多くの患者さんを支えてきた信頼の厚いお薬です。

特筆すべきは「継続率の高さ」です。副作用で中止せざるを得ないケースが少なく、一度効けば数年にわたって安定して使い続けられる方が多いのが特徴です。

ただし、2025年の米国消化器病学会(AGA)の最新ガイドラインでは、前述した新薬(抗IL-23抗体製剤)の存在感が増してきています。

5. 当院での治療:通院の負担が軽いお薬です

当院では、ここまでお話ししたような最新の知見をアップデートしながら、患者さん一人ひとりの「腸の状態」に合わせて最適なお薬を提案しています。

ウステキヌマブを選んだ場合は、初回だけ点滴で1時間かけて投与します。しかし、2回目以降は、8週間〜12週間に1回の皮下注射で済みます。

また、当院では、待合いから診察やウステキヌマブの投与まで、同じ個室で完結するスタイルになっています。リラックスした環境で、治療時間も短いのが特徴です。

まとめ

ウステキヌマブは、その「バランスの良さ」から、多くの患者さんが長く付き合っていけるお薬です。

「今の薬は通院が大変」「副作用が心配で次のステップに進めない」と悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたにとって、無理なく続けられる最善の治療を、一緒に見つけていきましょう。

引用文献

1. Sands BE, Sandborn WJ, et al. Ustekinumab as Induction and Maintenance Therapy for Ulcerative Colitis. N Engl J Med. 2019;381(13):1201-1214.
2. Feagan BG, Sandborn WJ, et al. Ustekinumab as Induction and Maintenance Therapy for Crohn’s Disease. N Engl J Med. 2016;375(20):1946-1960.
3. 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 令和6年度改訂版
4. Singh S, Loftus EV Jr, et al. AGA Living Clinical Practice Guideline on Pharmacological Management of Moderate-to-Severe Ulcerative Colitis. Gastroenterology. 2024;167(7):1307-1343.
5. Scott FI, Ananthakrishnan AN, et al. AGA Living Clinical Practice Guideline on the Pharmacologic Management of Moderate-to-Severe Crohn’s Disease. Gastroenterology. 2025;169(7):1397-1448.

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