2026年1月27日

こんにちは。仙台駅前で消化器内視鏡と炎症性腸疾患(IBD)の専門診療を行っている「せんだい駅前 消化器IBDクリニック」院長の志賀 永嗣です。当院は、プライバシーに配慮した個室を多数ご用意し、リラックスして受診いただけるような環境を整えています。
さて、今日お話しするのは、多くの方が悩んでいる「下痢や腹痛」についてです。特に、検査をしても「異常なし」と言われがちな過敏性腸症候群(IBS)と、腸に炎症が起きる難病の潰瘍性大腸炎/クローン病(IBD)との違いについて、整理してみたいと思います。
1. 症状だけではプロでも迷う?「便意切迫感」の共通点
IBDの患者さんの多くが「改善したい症状」として挙げるのが、「便意切迫感(べんいせっぱくかん)」です。これは、突然猛烈にトイレに行きたくなり、我慢が難しい状態を指します。
この症状はIBD患者さんのQOL(生活の質)を大きく下げ、不安やうつ状態にも関わることがわかっています。しかし、困ったことに、この「急いでトイレに駆け込む」という症状は、ストレスが原因のIBSでも非常によく見られます。
また、IBDの治療を受けて炎症が落ち着いてきている方であっても、ストレスによってIBSのような症状が重なることは多々あります。「炎症は落ち着いているはずなのに、なぜかお腹の調子が悪い」という場合、両方の要素が絡み合っていることもあるのです。
2. 血液検査は「絶対」ではない?
下痢や腹痛が続いてせっかく受診したのに、「血液検査で炎症反応(CRP)が高くないから、炎症はないだろう」と言われた経験はありませんか?
確かに、血液検査で貧血や強い炎症反応が出ていれば、IBDを疑うヒントにはなります。しかし、「炎症反応が上がらないIBD」も実は珍しくないのです。 血液検査が正常だからといって、腸の中に炎症がないとは言い切れないのが、この病気の難しいところです。
3. 専門医が勧める「一歩進んだ検査」
では、どうやって診断をつけるのでしょうか?内視鏡(大腸カメラ検査)を行う前に、便中カルプロテクチン検査という非侵襲的な(=身体に負担の少ない)バイオマーカーを用いることがあり、当院でも検査は可能です。これは、便の中に炎症の指標となる物質がないか調べるものです。
しかし、確定診断(病名を断定すること)するためには、やはり大腸カメラ検査が不可欠です。
IBDの診断には、多彩な炎症を鑑別する高度な診断能力が求められます。当院では、大学病院で多くの症例を経験・診断してきた内視鏡とIBDのスペシャリストが、最新の機器を用いて検査を行っております。
前回もお伝えしましたが、「怖い」「痛そう」というイメージがある大腸カメラ検査に対して、当院では以下のような工夫で不安を解消しています。
鎮静剤の活用
うとうとと眠っている間に検査を終えることができます。
スムーズな動線
検査後は、専用のベッドを完備した安静室でゆっくりお休みいただけます。
完全個室の診療
お腹やトイレの悩みは非常にデリケートです。受付から会計待ちまで、他の患者さんと顔を合わせずに済むよう配慮しています。
まとめ
「たかが下痢」「ストレスのせい」と諦めないでください。
適切な診断を受ければ、今の悩みから解放される治療法が見つかるかもしれません。もしあなたが通勤電車や外出先でトイレの不安を抱えているなら、一度「炎症性疾患の診断経験が豊富な医師」に相談してみることをお勧めします。
当院では、「あそこに行けば安心だ」と思えるよう、確かな技術と心休まる空間を提供してまいります。
引用文献
1. Hibi T, Ishibashi T, et al. Ulcerative Colitis: Disease Burden, Impact on Daily Life, and Reluctance to Consult Medical Professionals: Results from a Japanese Internet Survey. Inflamm Intest Dis. 2020;5(1):27-35.
2. Sninsky JA, Barnes EL, et al. Urgency and Its Association With Quality of Life and Clinical Outcomes in Patients With Ulcerative Colitis. Am J Gastroenterol. 2022;117(5):769-776.
3. van Rheenen PF, Van de Vijver E, et al. Faecal calprotectin for screening of patients with suspected inflammatory bowel disease: diagnostic meta-analysis. BMJ. 2010;341:c3369.