大腸ポリープ・大腸がん
大腸ポリープ・大腸がん
大腸がんは、大腸の粘膜から発生するがんです。大腸は、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸に分かれており、日本人の大腸がんの多くはS状結腸と直腸に発生します。日本では、大腸がんと診断される方の数が年々増加しています。男性では前立腺がんに次いで第2位、女性では乳がんに次いで第2位です。また、大腸がんが原因で亡くなる方の数も増えており、男性では肺がんに次いで第2位、女性では第1位となっている重要な病気です。しかし、ごく早期の「粘膜内がん」の段階で発見できれば、99%以上の根治が期待できます。
早期発見・早期治療が非常に重要ですが、残念ながら早期では自覚症状がありません。そのため、1年に一度は大腸がん検診を受けることが推奨されています。進行すると、血便・腹痛・便通異常などの症状が現れますが、これらの症状が出る前に検査を受けることで、早期発見につながります。
早期の大腸がんは、ほとんど自覚症状がありません。しかし、早期に発見できれば、大腸カメラによる切除が可能で、もちろん根治できます。そのため、症状が無くとも、定期的に検査を受ける必要があります。40歳以上で大腸がんの発生が増え始めることを踏まえ、大腸がん検診も40歳から始まります。
その一方、がんが進行して腸の壁の深い層へ浸潤すると、下記のような症状が出てきます。最終的には大腸が閉塞したり、周囲の臓器まで広がったりします。
便秘や下痢を繰り返す
大腸の内腔が狭くなると、便秘になったり、便秘と下痢を繰り返したりします。
血便
がんの表面は脆いため、表面がこすれて出血すると血便が見られます。
貧血による症状
がんの表面からの出血が続くと、貧血が進行します。
腸閉塞
がんがさらに進行すると内腔を塞いでしまい、便やガスが出なくなり、腹痛や嘔吐などの症状が現れます。
当院では、内視鏡専門医により、正確かつ苦痛の少ない大腸カメラ検査を心がけています。大腸がんを疑ったものの、検査をしてみると潰瘍性大腸炎などの腸炎が見つかることもあります。当院では、それらの腸炎の診断・治療にも精通しておりますのでご安心ください。なお、大腸カメラ検査が初めての方は、どうしても不安が先に立ってしまうと思います。安心して検査を受けられるよう、ご希望の方には鎮静剤を使用して検査を受けられる体制を整えております。どうぞお気軽にご相談ください。
大腸がんは、生活習慣がその発生に深く関わると考えられています。特に、以下の生活習慣が発症リスクを高めるとされています。
特に飲酒は、日本人において確実にリスクを上昇させるとされています。日本人は欧米人と異なり、飲酒量が少ない場合でも大腸がんのリスクが上昇しています。節度ある適度な飲酒量を目指したいところです。
がんが疑われる場合、大腸カメラ検査はもちろんのこと、必要に応じて次のような検査を行います。
貧血や炎症の有無、肝機能や腎機能など、全身の状態を把握するために行われます。また、がんを発症すると体内で増える物質を測定する「腫瘍マーカー」と呼ばれる検査も、病状を把握するために役立ちます。
がんの状態を調べるため、次のような画像検査を行います。
がんを疑った場合、組織の一部を採取し、顕微鏡で詳しく観察します。がんを引き起こす遺伝子変異の有無を調べたりすることもできます。
大腸の粘膜にできる「いぼ」のようなできものを、まとめて大腸ポリープと呼びます。大腸がんの中には正常な粘膜から直接がんが発生するタイプもありますが、良性のポリープから徐々にがん化するタイプの方が圧倒的に多いとされています。この「将来がんになる可能性がある良性ポリープ」の代表的なものが腺腫です。
良性と言っても将来的に大腸がんに進展する「前がん病変」である腺腫は、予防的に切除することが推奨されています。内視鏡を用いてポリープを切除することで、大腸がんの発生率が大きく減少することが以前から報告されていました。その後、死亡率も減少することが示されました。大腸ポリープを内視鏡を用いて切除することは、内視鏡専門医であれば比較的簡便に行うことができます。当院では、ポリープ切除の手間を軽減すべく、検査に引き続いてそのままポリープを切除することが可能です。
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